ネットオーダーのチラシ印刷は、フルデジタルの製造システムを活用しており、データ形式さえあっていれば、内容が間違っていても、早ければ当日には印刷機にかけられます。
納期が短く、値段が安いのがメリットですが、チラシ10,000枚とかの注文で内容が間違っていると、労力もお金も無駄になるというデメリットもあります。
元来のオフセット印刷
最近のチラシのオンデマンド印刷は、オートチェックできるシステムを導入している会社が増えていますが、以前は、印刷業者にデータを持ち込むと、オペレーターが手作業でチェックするのが主流でした。たぶん10年以上前かな。
ファイル形式や画像の解像度など、印刷機にかけられるデータには様々な「きまり」があります。
「きまり」に沿って作られているかを確認するだけでなく、間違いがあれば直接データを修正されたり、画像差し替えを頼んだりすることもありました。
デザイン事務所と印刷業者が協力して作業することが多かったです。

激安ネット印刷で起きた悲劇
激安ネット印刷会社に印刷を頼んだ時、イメージと色が違ったので、その旨伝えると、担当者は「送られてきたデータのとおりに印刷したので、私は悪くありません」の一点張りでした。
その言い方、強すぎない…?と思いましたが、基本的にはデータを作成したほうに問題があります。
倍の料金を払って、作り直しになりました。
ディスプレイ上の見え方と紙との違いを予測できるか
安さを重視すると、予想外のアクシデントに対応できないというデメリットがあります。
ネットで印刷を注文する際は、印刷物の「きまり」を理解していなければ、失敗がおきやすいです。
本番印刷の前にサンプルを出してもらうか、色見本でチェックするのも大事です。
大物はサンプルを出してもらえないので、ディスプレイではこうだけど紙に出したらこうだな、と予測で作ります。
特に注意が必要なのはチラシの「トンボ」「ぬりたし」、大きな看板なら「のばし」の部分です。
ぬりたし・のばしは、作るものによって違うし、印刷会社ごとに独自のルールがあります。
タペストリーの作成例
縫製するので、縫い目にデザインがかからないようにデータを作成する。
最後に縫いしろの追加が必須。


厚い木工パネルに貼る場合の作成例
巻き込んで仕上げるので、上下左右に「のばし」を追加する。
「のばし」を忘れると断面が見えてしまう。

ネット印刷は初心者にハードルが高い
デザインも入稿もしたことない人には、ネット印刷はあまりおすすめしていません。
なぜなら、どんなに慣れていても失敗するときはする!
しかし、基本を理解していれば、失敗した原因はあとでわかります。
不慣れな人だと、何が間違っていたのかわからず、わりと後までひきずります。
普通の人はAIデータがわからなくて当たり前
「デザインだけお願いします。入稿は自分でやります。」
とお客様に言われると、本当に大丈夫なのか心配になります。
デザインが本業ではなく、PCにイラストレーターをインストールしていない人が入稿をして、もしデータに不備があると、印刷業者→入稿者→デザイナー→入稿者→印刷業者、とデータのやりとりが煩雑になり、連絡事項が間違って伝わる恐れもあります。
実際、デザインデータを普段扱っていない方は、どれが正しいファイルなのかわからないのが実情で、時間はかかるし、ソフトも高いので、今後デザイン製作に従事する場合は別として、高いソフトを買って頑張って覚える必要はありません。
なんでも安さだけを重視すると、思わぬトラブルで逆にお金がかかることがあります。
困った時は、迷わずにプロに相談してください。
最後に、私がよくチラシの印刷に利用している「グラフィック」を紹介します。
Illustratorで自動データチェック!
印刷の通販グラフィックの「ダイレクト入稿」
初めてやったときは、めちゃくちゃ緊張しました。
安すぎて大丈夫かな?と不安でしたが、予想以上にキレイに仕上がるので助かっています。